ホテルローヤルと、お食事

石原慎太郎ならずとも、芥川賞に値する作品というのが最近は見あたらないと
俺も思っていた。
アタイするという意味は、別に芥川や有名どころの作品に比して負けないレベルという
ことでなはく、地球のヘソ的な独自性をもっている、という程度の意味だ。
小説ネタなんていうのはシェークスピアをもってすべて終わっているという人間もいる。
じゃあ、つまるところネタをどう料理するかって話になるのであって、これは所詮
技の領域の話だから、たいした仕事・芸術じゃないってもんで、小説と命名された。
決して大説とは言われないゆえんだ。

芥川賞と直木賞、どこが違うんだと言われても困るが、昔だと純文学と大衆小説的な
仕切りがあった。
最近は根暗で重いモノが芥川、明るくて軽いと直木、なんてー感じの線引きの方が
わかりやすかったんだが、どーも、暗けりゃ純文学ってわけじゃアルメーという
ところから、芥川賞離れが始まったような気がしてならない。

で、たまたま、ニュースをみてたら今年の直木賞は「ホテルローヤル」
書いた桜木紫乃はラブホテルの娘という話だ。
がははは、さすが文藝春秋、これで売れなかったら何が売れるの?
彼女が高級旅館の娘だったら、賞もありえなかった@@
いや、そーゆうゲスの勘ぐりをするのは諸君だけであって、俺クラスになると、泰然と
誠意を持って、本を読む・

これが短編の集合体なので、俺のようないい加減な脳みそでも、読みやすい。
それでもって、ネタが官能小説、まあ下ネタにふってあるので、なおさら読みやすい^^
結論は85点くらいでおもしろかった。
同じ北海道の渡辺淳一、あれはバカだったので北海道人はみなマヌケかと思っていたが
桜木のほうが遙か高みを歩いている。

北の大地に行ったのは2回ほどだが、あまり好印象はない。
自然が荒くて繊細さがない。
それが雄大でいいという人間もいるが、俺には自然ですら細やかな配慮が欠けている
ように思えた。
スキーをやっていても、本州のようにシラカバの間を滑り込むとか、遙かかなたに
連峰が見えるということがない。
ただデカイ山があって、長い距離があって、広いコースがあって。
層雲峡、網走から知床に抜けたときも、広大な平地を延々とバスで走り抜けたていどの
印象しか残っていない。
食事はカニやらウニのぶっかけ。
神経が雑な成金・中国人には北海道はあっているが、俺は北海道に醒めていたのだ。

「ホテルローヤル」は徹底的に醒めた話のオンパレードだ。
これは桜木の性が北海道に深く根ざしているからだと思った。
東北、北陸の人間も独特の暗さをもっているが、醒めてはいない。
暗さを小さな炎でチロチロ虐めるような、独特の情念をもっている。
北海道は違う、ちっぽけな火じゃ、極寒のなかを生きていけないと言い切っている。
「星をみていた」という一遍。
主人公は貧しさのなかに消え入ってしまいそうな底辺のおばさん。
オヤジは毎晩勃起して、おばさんを待っている。
ラブホテルでの仕事を終えたオバサンは、夜遅くトボトボ家に帰って、引きこもり風の
オヤジに黙って抱かれる。
「黙って抱かれる」ことで、星のない現実と共存して「教えられた幸せ」を享受している。
なにも足されない、なにも引かされない、タダ消えていく、そんな歴史のなかに数多く
埋もれてきた唯物たちを、むぞうさに大地のなかにほうりなげている。
俺は生あるうちは、「心のひだ」をご本尊にして生きているが、死して後のことについては、
諸行無常。
だから生あるうちに接した自然体としての北海道には何の興味もないが、小説としての
無常世界「北海道」には、いたく引きつけられたのだろう。
これは、あまり好きな言葉ではないが、ここにはエロスの醸造があり、そこに小説の存する
意味があるということだ。

石原慎太郎は『完全な遊戯』という短編を書いている。
内容は精神疾患のオンナを犯し、輪姦し、最後にゴミのように殺してしまう話だ。
「星をみていた」を読んだ後、『完全な遊戯』が奇妙にフラッシュバックした。

『完全な遊戯』については、評価がまっぷたつ・

佐古純一郎は、「もういいかげんにしたまえと叫びたいほどのものである。君たちはこういう
小説が書けることに若さの特権を誇っているのかもしれないが、いったい人間というものを
少しでも考えてみたことがあるのか。石原はどこかで自分の文学は人間復活の可能性の
探求だとうそぶいていたが、作家としての良心を失っていないのなら、少しは自分の言葉に
責任を持つがいいのだ」

江藤・三島は、さすがに、佐古のような間抜けな評論は書いていない。

江藤淳は、「果たして『完璧』という観念に人間的なものがあるか。石原氏がここで試み、
成功したのは、この観念のほとんど厳粛な空虚さを、抽象化された運動の継起のなかに
象徴しようとすることである。『純粋行為』がとらえられればよい」

三島由紀夫は、本作に集中した文壇の悪評におどろいたと述べ、「日本の批評はどうして
かうまで気まぐれなのであるか。『完全な遊戯』は、『太陽の季節』から『処刑の部屋』へと
読んできた読者には、一つの透明な結晶の成就であつて、それ以外のものではない。
この作品の筆致は澄んでゐる。会話の才能が物語をいかにもいきいきと運んでゆくが、
作品の性質は、モダン・バレエのやうなもので、抽象的な美しさに集中してゐる。
ここには肩怒らした石原氏はゐず、さはやかな悪徳の進行に化身してゐる。
一連の汚ならしい暴行と輪姦が、透明な流れのやうにすぎる。ここには自分の方法を
ちやんとした芸術の方法に高めた石原氏がゐるのであると高い評価をし、、、

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「星をみていた」の響きは、チャイコフスキーの悲愴となんら相違はないものなんだが、
コンサートホールで悲愴を聴く聴衆のいかほどが、「星をみていた」を読んで、魅了される
のだろうか。
桜木のおかげで、久しぶりに灰汁のなかで性に溺れる、なじみの異様感を味わった。

こーゆう小説をお昼間から読んでいると、だんだん退廃・清貧に甘んじて、大家業に
悪影響を及ぼす恐れがある・・
資本主義万歳、ヤルキのあるオオカミになれ!
ちょうどナナちゃんがお友達と歌舞伎を観にいくっていうので、夜、銀座で待ち合わせ
することにした。
知り合いの方が、なかなかオイシイ店があるというのだ。
六雁(むつかり)といって、ネットじゃ相当に知られているらしい。
食べログ野菜料理部門全国1位というんだから、野菜はおいしいんだろう@@
俺はそもそも、こーゆう食べ物ランキングなんて、あまり信用しないほうなの。
自分で食べて、自分がおいしいと思ったモノが、おいしい。
俺はコロッケが好きなんだが、そんなことを理解できるオンナも最近は少ない。
いい店のコロッケはおいしいんだ@@
吉本隆明はコロッケが大好物で、誕生日にはヤマにように奥様が揚げていたと
娘さんが書いている。
彼は明白な重度発達障害だから、異様な食狂いだったようだが、コロッケが好きなのは
天才にあっては当然のことなのだ。
そんなわけで、たいして期待もしないで銀座までノコノコ出かけて、シェフおまかせ
コースを食した。
そこのシェフが、すこし変わった病的な風貌をしたオトコで、俺はそーゆうの好きだから、
カウンターに座った途端に機嫌がよくなったのだが、なんと、NHKの「キッチンが走る!」に
出演したんだと@@
おい、その顔でNHKに!、思わず吹き出しそうになったが黙っていた。
で、結論は、いやオイシカッタ^^
鮎が絶品で、どこの鮎?と聞いたら、今日は広島だと@@
鮎はアタマからハラワタまで食べるため、コブリがベストと言われている。
俺も一時アユ釣りにはまっていたから、新鮮なものは飽きるほど食べたが、焼くのが
むずかしい。
京懐石「美濃吉」のアユを誉めてるヤツもいるが、あそこのは、すこし熱を入れすぎで
柔らかいのだが瑞々しさがない。
で、六雁のあゆ。
これは、俺の知る限り、絶品・
こんなウマイあゆ、30年間・何千匹も食べてきたが、はじめてだ。
身はふわふわで柔らかく瑞々しい、まるで釣りたて、生きたまま空輸してくるらしい。
いまどき生きたまま空輸なんて、どこにもあるが、その後の活かし方がウマイんだろう。
焼き加減はカリカリ感と焼き目の入れ具合が絶妙、ハラワタもおいしい@@
ほかの客は2匹なのに、俺とナナちゃんの皿だけ3匹入っていた?
お造りが、白身以外にウニ・伊勢エビ。この伊勢エビが、またオイシイ。。。
むかし神津島で食べたのを思い出した。
コースにないはずのアワビも出るし、ハモがまた、おいしいのなんの。
シェフは関西出身なのかな?
最後にマカロンまで食べて、ハフハフ。
銀座5丁目でアワビ・ウニ・伊勢エビつまみに飲んだら、、、
これで4万円じゃ安すぎると思ってナナちゃんに聞いたら、六雁の板前を知って
いたので、サービスだったようだ・・
しかし通常のシェフおまかせで13000円だから、まことに良心的。
銀座でこれほどのカウンター造作、この値段はまずありえない。
海老蔵事件の六本木と違って、銀座には、やはり品が漂っております。
肩肘はった店じゃありませんから、Gパン・Tシャツでもけっこう。
安心して入れるお店ですから、ぜひ皆様も、お食事にお出かけください。

さて相場のことも書いておこう。
八月も終盤、高値から押して踊り場。
大きく動く気配もなく、しばらくは、こんな感じ。
為替もドル円90円台で膠着。
海外リートは下げがキツク、レアルや豪ドル連動ものは、利回りが30%近くまで
上げてきた。
そろそろ海外リートに関しては買い始めてもいいと思う。
この水準からFXで30%程度のヘッジをかけていけばいいだろう。
アタイは松竹が八月の権利取りなので1万株前後買い増して、ツナギを
入れておいた。
あとは、株を持つ気にもなれなくて、しばらくは不動産。
信用の買いが整理される9~10月ころ潮目がハッキリしてくるかもしれない。
じゃあ、また。
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by sniperfon | 2013-08-26 16:41  

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